がん闘病記 40歳3児の父の記録

縦郭腫瘍 なかでも極めてまれな悪性の胚細胞腫瘍を発症 これからのためにとにかく記録を残そうと思った

2月22日 入院翌日

思いのほかよく眠れた

ここのところ、眠れたといっても2,3時間毎に目を覚ましていたことが多かっただが、連続して5時間以上は眠っていたようだ

 

今日、明日と特に予定はない 正確には明日の夜から抗がん剤前の補液がはじまるが、それまでは何もすることがない

外泊も勧められた

 

しかし、家で娘たちが風邪をひいて、咳や鼻水がひどいとのこと

これまでの経験上、子供たちが風邪をひくとかなり高い確率でうつっているので、今回も危険性は高い

予定している治療が化学療法ということもあって、外泊は控えなるべく部屋から出ないようにした

治癒をねらった治療でなければ、家族と一緒にいる時間を優先させただろう

しかし、今回の治療は違う

完遂できれば治癒の可能性もある それだけこの化学療法が重要であり、今は何においても優先させるべきだと考えた

 

11時ごろ、裕美が子供を実家に預けお見舞いに来てくれた。

姑に預けなければいけないので、それほど長時間はむつかしく、そよかはプールのレッスンの日なのでそれも連れて行かなければならない

顔をみる程度の面会であったがそれでもうれしかった

入院中の患者の気持ちがようやく実感できたように思う

 

10年以上前に足首の怪我の手術をしたことがある

整形外科の手術なので簡単に考えていたが、やはり術後は尋常じゃなく痛みがあり、日常動作も思うようにならない

面会や担当の研修医が来てくれるだけでずいぶん心強かったことを思い出した

 

昼からは引き続き調べ物やamazon primeを観ながら過ごす

特に気になったのは支持療法の話だ

 

化学療法を行うと必ず骨髄抑制といって、骨髄で作られる免疫を担当する細胞やヘモグロビン、血小板といった成分が減少する 

これに対して、それらの細胞を増やす因子としての薬剤(G-CSF)を投与するという対応がとられることがある

一般的な癌腫に対して行う化学療法では、多くの場合治療投与 すなわち、実際に白血球が極端に低下してからの投与という保険適応になっているが、治療投与では重篤な合併症の予防にはならないというのが近年の一般的な見解のようである

それに対して、白血球が下がりきる前に投与する予防投与に関しては有効性が確認されていて、重篤な合併症を回避する方法とされている

 

胚細胞腫瘍はしっかりとした化学療法の実施がなによりも大切であり、そのため予防投与が保険適応となっている

 

今回予定しているBEP療法については、重篤な副作用の頻度がそれほど高くなく、予防投与は必要ない という見解もあるようである

実際の投与は施設によって違いがあるようで、調べた範囲では、9日目より上昇傾向を認めるまで連続投与 といった方法がとられたり、好中球2000以下で準予防投与 といった方法がとられたりしているようだ

 

九大病院ではルーチンに投与するということはしていないようで、どのような方法で投与するかは担当医と相談することになるであろう

この辺は、私自身が医者ですこし先輩であるということから希望を言えばそれに沿うように配慮してくれると思う

 

夕食をとり、シャワーを浴び、就寝の準備をする

規則正しい修道院のような生活だ 

 

胸部に特に強い症状はなく、いまひとつ病気という実感が湧かないが、化学療法が始まれば副作用によって一気に病人といった雰囲気が出てしまうであろう

 

毛髪が抜け落ちて、変わり果てた父の姿を娘が見たらどう思うであろうか

心配して泣いてしまうのではないかと思う

 

なんとか治療がうまくいき、将来このことを笑い話として話せるようになる日が来ることを信じたい

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